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志望理由書を書いてみよう

これまで、さまざまな切り口から目標やビジョンを考えるヒントを紹介してきました。
方向性が定まったら、提出の有無にかかわらず、文章(言葉)にしておくとよいでしょう。
志望理由書は自分との約束の証です。時々読み返し、初心を忘れないようにしたいものです。

志望理由書とは?

 志望理由書は総合型選抜(旧AO 入試)、学校推薦型選抜(旧推薦入試)で広く提出が求められている書類の一つです。様式はさまざまですが、この記事では大学で学びたいことや志望校を選ぶ理由を600~800 字程度で述べるケースを想定します。まず大事なことは、ただひたすら「頑張ります!」と意欲をアピールするだけでなく、入学後に学びたいことを大学の先生が納得できる研究テーマのレベルまで掘り下げて具体的に書くことです。そして、学びたいことに取り組む上で志望校が適していることを述べます。一般選抜で志願する受験生であっても、これらのことを文章にしてまとめておくことが有効なのは言うまでもありません。志望理由書はいわば「自分計画書」であり、受験勉強に目的意識を持って取り組む拠りどころとなるでしょう。医療系など、面接や口頭試問、小論文などが課される場合には、準備がもちろん必須です。ちなみに大学院進学の際には研究計画書としてさらに高度で具体的なものが求められます。

志望理由書で求められること

 大学で学びたいことを述べる場合、学問分野をきちんと理解しておくことが前提です。例えば、「経済学を広く学びたい」では不十分で、国際・金融・公共・労働など多岐にわたる分野の中から、興味があるテーマを具体的に示す必要があるでしょう。そして、大学では知識を受動的に吸収するだけでなく、学んだ知識を社会問題の解決に役立てることが求められますから、「なぜ日本では女性の進出が進まないのか?」「どうしたら自然災害による経済損失を減らせるか?」など、問題意識を持ち、疑問や問いの形で取り組みたいテーマを明確にすることが望ましいです。興味・関心を持ったきっかけだけを延々と述べる、あるいは一貫性がなく興味・関心のあることを羅列するような書き方は避けるべきでしょう。大学を選ぶ理由では、志望校の教育・研究内容、教員の専門分野などを十分に調べ、自分の目標と合致していることを伝えます。

志望理由書の質を高めるために

3つのポリシー

大学全体や学部・学科ごとにアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)、カリキュラムポリシー(教育課程編成方針)、ディプロマポリシー(学位授与の方針)が定められています。このうち、アドミッションポリシーは「どういう人に入学してほしいか」を示したものです。3つのポリシーは大学案内やホームページに掲載されていますから、志望校の内容をチェックしておきましょう。学びに対する姿勢や卒業後のビジョン(どのように活躍したいか)などが志望校の方針と共通していればアピールになることは言うまでもありません。

学部・学科の特徴

法・商・経済・文・理・工・農などの伝統的な学部・学科に加えて、グローバル、コミュニケーション、マネジメントなどの名称のついた幅広い領域を学ぶ学部・学科も増えてきました。同じような名称でも大学によって力を入れている分野やアプローチが異なることがあるため、詳しい情報収集が必要です。特に、新傾向や学際分野の学問を選ぶ際は、トレンドだけに左右されるのではなく、自分の将来にどのような価値をもたらすかしっかり検討しましょう。繰り返しますが、「自分の希望と合っていて、その学部・学科であれば学びたいことに打ち込める」ことほど説得力のある志望理由はありません。そのほか、大学院との一貫教育や英語による授業など各大学は特色あるプログラムを展開しています。

最新のニュース・研究動向

大学での研究が社会貢献、社会の諸問題の解決を目的とする以上、国内外のニュースに日頃から関心を持つことは欠かせません。小論文や総合問題などが課される場合には、その対策にもなります。また、特に理系の研究は日進月歩ですから、最先端の研究の動向にも目を向けておきましょう。大学のホームページでは、教員の研究や研究室の取り組みをニュース・トピックスとして紹介しており、志望理由を考えるヒントになります。国内外の研究をリードする難関大を志望する際にも、研究への深い理解が評価されるでしょう。

COLUMN

あたりまえですが、大学は研究・学問をするところ

 志望理由の中には、法曹(裁判官・検察官・弁護士)、教員や研究者など、「希望する職業に就くために進学したい」と書いているものがあります。思いはわかりますが、現行の法律や教育の問題は何かなど、やはり探求したいことを書くべきです。大学は職業や資格のための手段ではないことを理解しましょう。

学問・大学を先取りしよう

 志望理由を考えるためばかりでなく、学問や大学をより深く理解するためにさまざまツールを活用してみましょう。学びへの好奇心がいっそう刺激されるはずです。

教員紹介

 大学のホームページには「教員紹介」のコンテンツがあります。所属する教員の研究テーマや業績、プロフィールなどが紹介されており、自分が学びたい分野を専門としている教員について詳しく知ることができます。テーマがマッチする教員が見つかったら、担当するゼミナール・研究室のホームページなども調べてみましょう。

建学の精神と大学の沿革

 当然ですが、どの大学にも創立者がいて、設立にあたっての理念や思いを建学の精神として伝えています。法律学校や医学校、宗教など、大学の母体もさまざまです。さらに、長い年月を経て独自の校風を醸成してきました。大学の歴史をひもとくことで、志望校に対する愛着や親しみが生まれ、モチベーションが高まるでしょう。

シラバス

 シラバスとは、授業の内容や予定、目的などを科目ごとにまとめた一覧です。これを参考にして、学生は履修する科目を選択します。ホームページなどでシラバスを一般に公開している大学もありますので、研究や学習内容を知るために活用するとよいでしょう。授業進度などが詳しく書かれており、授業をリアルに実感できます。

論文・書籍

 専門的になりますが、学びたいテーマが明確な人は思い切って論文に触れてみるのもよいでしょう。「CiNii Articles 日本の論文をさがす」(国立情報学研究所)などのサイトでは、学術論文をキーワードや著者で検索することができます。また、学問への入門として、テーマに関連した新書を読んでみるのもよいでしょう。

志望理由書にチャレンジ!
 働き方改革関連法が2019年4月から順次施行されている。働く人が自分の事情に合わせた働き方を選択できるようにすることが目的だが、改革を進める上での課題も指摘されている。この問題について、私は大学で労働政策の立場から考えてみたい。  少子高齢化が進む中で、若い働き手を確保することは緊急の課題である。そのため、生産性や労働環境を改善する施策が働き方改革に盛り込まれた。しかし、これから社会に出る私たち若者の立場で考えたとき、果たして実効性のある施策なのか、本質的な問題は何なのか、疑問を持ったことが労働政策や働き方の問題について研究したいと思ったきっかけである。(後略)

⇒疑問を学びに


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