駿台ADVANCE

将来を描く

自分の力で切り拓く!
夢を実現する正攻法
Advice

将来を具体的に描く
アプローチ

情報通信をはじめ技術の急速な進展により、未来は予測がますます難しくなっています。
利便性や効率が向上する一方で、社会に大きな影響を及ぼす新たな問題も生まれています。
幅広い視点から将来の目標を考え、「自分を活かす道」を見つけていきましょう。

地球・生物との共存
~環境への取り組みをビジネスに~

 昨年の国連 気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える努力を追求することが成果文書に盛り込まれました。環境と経済は対立するものと捉えられがちですが、経済成長と環境保全を両立させようという試みが進んでいます。このような「経済のグリーン化」は、持続可能な社会を実現するために不可欠な基盤であると言えます。
 例えば、可能な限り動物性食品を摂らずに生活するという考え方(ビーガン=Vegan) があります。動物愛護、健康などの理由に加えて、環境への配慮の観点でも注目されるようになりました。環境省による環境白書(2021年)でも、「肉類は少ない消費量に対して、(飼料の生産・輸送、飼育の過程で)全体の約1/4を占めるほどの高い温室効果ガス排出原単位となっている」と指摘されています。このような背景から、大豆などの豆類を主原料とした代替肉が商品化され、スーパーやコンビニエンスストア、飲食店などで提供されるようになりました。食分野の新技術やビジネスはフードテックと呼ばれ、新たな市場創出が期待されています。

AI・ビッグデータの活用
~出前をビジネスに進化させた基盤~

 寿司や蕎麦からピザと定着していた出前・配達サービスは、コロナ禍やサービスの充実などにより、取扱店舗や利用者がさらに拡大しました。スマホ時代を象徴するビジネスの一つと言えます。
 フードデリバリーサービスで日本でもすっかりお馴染みとなった米国発の企業は、ライドシェア(車で移動したい人とドライバーをマッチングする仕組み)をはじめ、テクノロジーを核に新しい価値を提供しています。このほか、インターネットショッピングなど、商品やサービスを情報技術により仲介する環境を提供する「プラットフォームビジネス」は、生活に欠かせないものになりました。
 情報技術を活用したビジネスでは、消費者にとって便利なアプリを提供することはもちろん、店舗や個人の出品者に対しても情報やデータを提供し、販売促進や業務効率化をサポートしています。また、食事の配達では、位置(地図)情報も必須です。
 これからの時代を担う皆さんは、社会の課題やニーズに応えるために、人工知能(AI)やビッグデータを活用していくことが求められます。情報活用力は大学の専攻を問わず身に付ける必要があります。

「興味」「適性」「ニーズ」で将来を考えてみよう

 将来の目標や自分に合った仕事を考える際に「興味」(=やりたいこと)、「適性」(=活かせる能力、できること、向いていること)、「ニーズ」(=社会的な必要性、貢献度)などの観点からバランスよく検討してみるとよいでしょう。これらがすべてマッチした仕事や学問が将来の職業や目標の候補と考えられます。

COLUMN

企業は誰のもの

 企業は、顧客・消費者はもちろんのこと、株主(出資者)、従業員、金融機関、取引先、ライバル企業、地域社会、国や地方自治体などと、さまざまな結び付きを持ちながら事業を展開しており、これらをステークホルダーと言います。企業はお互いにとって利益となるように努めていく必要があります。

ダイバーシティ(多様性)の尊重
~時代に合わせた企業評価の基準~

 日本の上場企業の女性役員数は年々増えているものの、 2021年現在7.5%と諸外国に比べて低い水準に止まっています(内閣府・男女共同参画局資料による)。また、国会や地方議会などでも女性議員のさらなる登用が求められています。その対策として諸外国で実施されているのが、選挙で候補者や議席の一定割合を男女に割り当てるクオーター制です。
 「ダイバーシティ」とは、人種、性別、年齢、信仰などを問わず、多様な人材が活躍できる環境を整え、個々の能力を活かしていこうという考え方です。社会や企業の活性化、労働生産性の向上などが期待されます。本来は幅広い概念ですが、日本では性別、年齢、障害などの側面に焦点が当てられることが多くなっています。少子高齢化による将来の労働力不足に対する懸念もその背景にあるでしょう。
 さらに、企業の社会的責任が重視される中で、ダイバーシティや環境などへの取り組みも評価の重要な指標になっています。環境・社会・経済への影響に配慮し、事業の「サスティナビリティ」(持続可能性)を高める努力を行っているかどうかが、企業の価値を左右する時代になっているのです。

マーケティングの新時代
~消費者の価値観はどう変わってきたか~

 「マーケティング」とは売るための仕組みのことで、さまざまな理論や手法が研究されてきました。これまで紹介してきたように、AIやデータの活用によりマーケティングはさらに進化を続けています。
 新しいモノやサービスが生み出されることによって、私たちの暮らしは便利で豊かになってきました。一方で、時代に応じて消費者のニーズや価値観も変化しています。「安ければ買う時代」から、「欲しいものを買う時代」へ。さらに、製品価値だけでなく企業イメージ(環境に配慮しているかなど)も重視して選ぶようになりました。インターネットの普及で消費者が情報を入手しやすくなり、また企業もマーケティングに積極的に活用するようになっています。近年は、SNSなどを利用して消費者も情報を発信するようになったこともあり、自分ならではの価値を見出せる(自己実現できる、精神的に価値ある)モノやサービスを追求する段階と言われています。
 このように、社会の変化やニーズに目を向けることでやりたいことを見つけていきましょう。マーケティングのアプローチは「自分を活かす戦略」を考えるためにも役立つヒントを提供してくれます。

身近なことから興味・関心を広げてみよう

 サッカーが好き、音楽が好きという人は多いでしょう。プロの選手やミュージシャンをめざすのは現実的でないかもしれませんが、好きなことに将来を考えるヒントがあります。
 スポーツは試合や競技そのものの魅力はもちろん、インターネットで動画を発信する、ファンクラブを組織してイベントを実施する、グッズを販売するなど、ビジネスのさまざまな可能性を秘めています。チームドクターやトレーナーなど、医療やトレーニングのサポートに携わることもできるでしょう。また、音楽や動画の配信で身近なサブスクリプション(料金を支払い一定期間利用できる権利を得るサービス)は、さまざまな業種に広がっています。つまり、サッカーや音楽から、マーケティングや情報通信技術まで展開できるのです。
 観客・ファンとして楽しむだけでなく、好きな対象に能動的に関わってみましょう。

⇒ビジョンを描く正攻法「業種・職種を知る」


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