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データでひもとく大学入試

2021年度入試結果と
2022年度入試について

2021年度入試は、当初予定されていた大規模な入試改革は先送りになりましたが、大学入試センター試験(以下「センター試験」)に替わって、大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)が新規に実施され、それに伴い多くの大学でも入試変更が行われました。これに加えて、例年にはなかった新型コロナウイルス感染症対策にともなう影響も生じました。このような2021年度入試の特徴を端的に示す3つのキーワードがあります。

①コンパクト(Compact)

志望校への物理的な距離や学力について、自分の近くでこぢんまりとまとめようとする傾向がありました。遠距離の移動を嫌って、自宅近隣の大学、そして自分の学力相応の大学、このように「自分に近い大学」を中心に志望する傾向が強まりました。ここ数年見られた超安全志向は影を潜めましたが、志望を高く持ってチャレンジするという傾向もありませんでした。

②保守的(Conservative)

新しく導入された共通テストやコロナ禍対策に伴う個別試験中止、早稲田大、上智大、青山学院大などで導入された従来にない形式(共通テスト併用、記述式の個別試験など)の私立大入試など大きな改革・変更への敬遠傾向が見られました。

③利便性(Convenient)

受験生にとって受験しやすい大学に人気が集まりました。受験機会の増加、受験料の減額や一部の無料化など受験機会の確保のしやすさという面が、コロナ禍での何かと制限の多い環境の中で受験生の支持を得ました。

このように、特徴的なキーワードの頭文字をとって、「3C入試」とも言える2021年度入試でしたが、以下ではその具体的な中身について見ていきましょう。

国公立大志願状況

2年連続減少、国立大は10年連続減少

 2021年度国公立大の一般選抜入試(学校推薦型選抜・総合型選抜等の特別選抜入試を除く) の志願者数は42万9千563人で、前年度と比べて1万3千503人(97、以下括弧内の数値は指数を示す)減少しました。大きく志願者数が減少した前年度に続いて2年連続減少で、国立大は10年連続減少、公立大は2年連続の減少となりました。
 前年度の弱気な出願による既卒受験生が減少したことに加えて、コロナ禍による学校一斉臨時休校に伴う学習の遅れや共通テストがセンター試験よりも難化するという予想、さらにコロナ禍での無理な受験を回避する受験生が増加して、共通テストの欠席率が例年を大きく上回ったことが最大の要因です。

コロナ禍の影響が志願系統に《図1》

《図1》国公立大系統別志願状況

 図1は、系統別での国公立大の志願者数の増減状況です。前年度は全系統で減少しましたが、2021年度も、薬(107)と総合科学(103)がやや増加で、それ以外の系統はいずれも前年度並か減少という結果になりました。
 文理ともにコロナ禍の影響が見受けられました。文系では、海外との交流制限等が影響している国際関係(90)、外国語(93)、厳しい経済環境を背景に就職直結型のイメージがあまりない人文科学(93)の減少が象徴的です。理系では、厳しい経済環境から、理(91)より実学的である工(100)への流れがありました。
 メディカル系は、日々の報道で注目が集まり、職業直結型の系統であることから人気が高まりました。ワクチンや治療薬開発の話題が多い薬(107)はやや増加、特に地方の地元志向も重なった保健衛生(102)は微増でした。医(99)は6年連続で減少していましたが、医師を目指す理系上位層が他学部に志望変更しなかったことも影響して前年度並で、前期では7年ぶりに増加しました。
 文理いずれからも志願者がいる系統では、オリンピック・パラリンピック効果が薄れたスポーツ・健康(83)は大幅減少しました。

難関国立10大学志願状況

10大学合計では3年連続減少

 難関国立10大学(北海道大、東北大、東京大、東京工業大、一橋大、名古屋大、京都大、大阪大、神戸大、九州大)の志願者数は、増加および減少がそれぞれ5大学ずつで、全体では1千197人(98)の微減で、3年連続減少となりました。

前期は5大学増加、5大学減少《図2》

《図2》難関国立10大学志願状況(前期)

 前期では、10大学合計で331人(99)の微減で、3年連続減少となりました。神戸大(111)は増加、名古屋大(104)、東北大(103)、一橋大(103)、九州大(103)はやや増加でした。一方、北海道大(93)、大阪大(94)、東京工業大(96)、京都大(96)はやや減少、東京大(98)は前年度並となりました。

後期は神戸大、九州大が増加《図3》

《図3》難関国立10大学志願状況(後期)

 後期では、10大学合計で866人(94)の減少で、2年連続減少となりました。募集人員が多い九州大(110)、神戸大(108)は増加、北海道大(82)は大幅減少となりました。募集人員が少ない大学では、特色入試として募集する法(108)のみの京都大は増加、東北大(92)は2年連続減少、一橋大(96)はやや減少で4年連続減少、地域枠として募集する医(医)のみの名古屋大(98)は前年度並でした。

主要国公立大学志願状況

前期は金沢大が大幅増加《図4》

《図4》主要国公立大志願状況(前期)

 次に難関国立10大学以外の主要国公立大学の志願状況です。全体的に、増減が大きい大学が多く見られました。
 前期では、前年度より10%以上増加した大学は、金沢大(142)、大阪府立大(111)、横浜市立大(110)で、筑波大(105)、千葉大(105)はやや増加でした。一方で減少したのが、横浜国立大(66)、東京外語大(88)、新潟大(90)、熊本大(90)でした。
 金沢大は、後期廃止により募集人員が20%増加したことの影響と2年連続減少の反動で大幅増加しました。大阪府立大は、前年度大幅減少の反動で増加しました。次年度から、大阪市立大(101)と統合し大阪公立大として生まれ変わります。横浜市立大は、2年連続減少の反動で増加、データサイエンス(174)は激増でした。一方で、横浜国立大は、コロナ禍の影響を考慮して個別試験実施を見送り、共通テストの成績による選抜に変更したため、合格目標ラインが見極めにくくなり敬遠されました。東京外語大は、コロナ禍による系統への人気低下が影響して減少しました。

後期は横浜国立大、東京外国語大が大幅減少《図5》

≪図5≫ 主要国公立大志願状況(後期)

 後期では、前年度より10%以上増加したのは、千葉大(127)、岡山大(125)、名古屋市立大(120)、東京都立大(112)、大阪府立大(112)でした。一方で、前年度より10%以上減少したのは、横浜国立大(49)、東京外国語大(72)、新潟大(81)、広島大(87)、横浜市立大(87)、お茶の水女子大(88)でした。
 千葉大は、共通テストの平均点アップの影響と3年連続減少の反動で大幅増加、薬(180)は激増しました。岡山大は、前年度大幅減少の反動で大幅増加、経済(202)は倍増でした。横浜国立大と東京外国語大は、前期と同様に、横浜国立大は後期の個別試験の廃止、東京外国語大はコロナ禍の影響による系統への人気低下といった理由で大幅に減少しました。新潟大は、教育、創生の後期廃止が要因ですが、廃止の2学部を除いても(94)のやや減少でした。
 中期の2大学はいずれも1学部のみの募集で、2大学とも減少しました。工のみ募集の大阪府立大(92)は減少で、2013年度以降、前年度の反動による増減が継続しました。

私立大学志願・合格状況

志願者数は大幅減少

 駿台が集計した私立大484大学の一般選抜(学校推薦型選抜・総合型選抜等の特別選抜入試を除く)の延べ志願者数は、約312万人(86)で、前年度より約14%減少しています。この数値から推定される最終的な全私立大の延べ志願者数は、14年ぶりに減少した前年度から2年連続減少で、10%以上の減少が見込まれ、324万人前後になり、2017年度の志願者数を下回ると予想されます。この減少の背景には、以下の4点の要因が考えられます。

①既卒受験生の大幅減少

 2020年度入試において、結果的には先送りとなりましたが、2021年度に予定されていた大規模な入試改革への不安、これにコロナ禍への不安も加わり、かつてない弱気な出願となり大学進学を決めた受験生が多く、2021年度入試を目指す既卒受験生が大幅減少しました。

②1人あたりの併願校数の減少

 コロナ禍での経済環境の悪化に加えて、感染への不安や対面授業の再開が不透明なことにより、地方から都市部の大学進学を敬遠する動きなどもあり、1人あたりの併願校数が減少しました。

③共通テスト利用方式への不安

 共通テストの出題内容・難易レベルへの不安から、新規に共通テスト利用方式を導入した募集単位を除いた前年度から継続する共通テスト利用方式の志願者数が減少しました。

④文系志願者数の減少

 コロナ禍による厳しい経済環境や海外渡航制限の影響を強く受けている外国語系、経済・経営・商学系、国際関係系といった文系の系統への人気が低下し、文系の志願者数が占める割合が大きい私立大では志願者数減少が拡大しました。

合格者数は文理とも増加で競争は緩和

 一方で、駿台が集計した私立大457大学の合格者数の集計では、約6%増加しており、競争緩和が見られました。模試の合格目標ラインで5グループに分けて、志願者数、合格者数を比較すると、志願者数は文理ともにすべてのグループで減少し、合格者数は合格目標ラインが最も低いグループ以外は増加しています。そのグループも志願者数より合格者数の方が減少率は小さくなっています。
 文系、理系のすべてのグループでの競争緩和が、2021年度入試の大きな特徴です。志を高く持って前向きに粘り抜いた受験生には、チャンスの年度だったと言えます。

18系統全てで志願者数減少《図6》

《図6》私立大系統別志願・合格状況

 図6は、駿台が集計した私立大484大学の志願者数、457大学の合格者数の系統別での前年度対比指数をグラフにしたものです。
 すべての系統で志願者数が減少しています。その中で、大きく減少したのは、人文科学(83)、外国語(78)、国際関係(81)、生活科学(81)、歯(78)、農・水産(81)、スポーツ・健康(77)です。それぞれの減少要因は、人文科学は経済状況が悪化する中で就職に直結しないイメージによる人気の低下があり、外国語と国際関係はコロナ禍の影響による海外との交流制限等による勉学や将来への不安、生活科学は女子大の志願者数減少、歯は医からの志望変更の減少、農・水産は高校生が関心を持つ話題が少ないことによる系統への人気低下、スポーツ・健康はオリンピック・パラリンピック後の関心や人気の低下などです。
 一方で、減少率が10%以下と低かったのは、医( 91 )、理(95)です。医はコロナ禍で系統への関心と人気が高まり、聖マリアンナ医科大(136)の後期日程の新規実施なども影響しました。理は理高文低の流れの中で、情報理工や生命理工といった人気が高まっている学部の志願者数がいくつかの大学で増えたことが影響しています。
 合格者数(106)は、メディカル系など一部の系統を除き増加し、競争は緩和しています。系統別でみると、私立大の中で最も募集人員の多い経済・経営・商(111)、次いで多い工(107)をはじめ、全18系統中11系統で増加しています。
 志願者数と合格者数の指数の比較では、すべての系統で、合格者指数が志願者指数を上回っており競争の緩和が見られます。

主要私立22大学入試結果

志願者数増加は3大学のみ《表1》

《表1》主要私立22大学入試結果2か年

大学 2021年度 2020年度 増減数 志願者指数 合格者指数
志願者数 合格者数 志願者数 合格者数 志願者数 合格者数 2021年度
/2020年度
2020年度
/2019年度
2021年度
/2020年度
2020年度
/2019年度
青山学院大 40,123 9,884 57,822 8,262 -17,699 +1,622 69 96 120 102
学習院大 17,108 3,790 16,932 3,656 +176 +134 101 88 104 97
慶應義塾大 36,681 9,327 38,454 8,590 -1,773 +737 95 92 109 98
駒澤大 29,902 9,130 28,825 8,139 +1,077 +991 104 59 112 115
上智大 26,270 6,775 26,156 5,476 +114 +1,299 100 94 124 115
専修大 47,381 13,650 51,024 11,559 -3,643 +2,091 93 91 118 138
中央大 78,534 19,829 86,476 17,026 -7,942 +2,803 91 93 116 100
東京理科大 49,301 16,579 56,355 15,727 -7,054 +852 87 93 105 101
東洋大 89,808 27,731 101,776 27,048 -11,968 +683 88 83 103 113
日本大 97,948 35,737 113,902 34,060 -15,954 +1,677 86 113 105 119
法政大 90,956 20,033 103,628 18,591 -12,672 +1,442 88 90 108 104
明治大 99,470 24,732 103,035 22,304 -3,565 +2,428 97 92 111 101
立教大 65,475 14,659 61,308 12,152 +4,167 +2,507 107 89 121 108
早稲田大 91,659 14,532 104,576 14,513 -12,917 +19 88 94 100 100
京都産業大 40,925 11,340 56,220 9,834 -15,295 +1,506 73 102 115 113
同志社大 44,481 15,804 49,946 15,412 -5,465 +392 89 93 103 101
立命館大 83,512 31,943 103,669 30,962 -20,157 +981 81 110 103 113
龍谷大 56,379 17,835 53,281 12,625 +3,098 +5,210 106 96 142 122
関西大 79,510 19,124 87,625 16,189 -8,115 +2,935 91 94 118 96
近畿大 135,830 37,484 145,320 34,034 -9,490 +3,450 93 94 110 122
関西学院大 33,617 11,783 33,209 8,332 +408 +3,451 101 86 141 90
甲南大 14,845 5,163 18,999 4,546 -4,154 +617 78 83 114 105
22大学合計 1,349,715 376,864 1,498,538 339,037 -148,823 +37,827 90 93 111 109

◇前年度対比指数は、いずれも前年度を100 とする数値を表す。

 表1は、主要私立22大学の一般選抜入試の結果です。
 22大学合計の志願者数は約135万人(90)で、3年連続減少となりました。
前年度より増加したのは、立教大(107)、龍谷大(106)、駒澤大(104)の3大学で、学習院大(101)、関西学院大(101)、上智大(100)の3大学が前年度並、他16大学は前年度より減少しました。
 要因は、2020年度入試での弱気な志望動向で既卒受験生が減少したことに加えて、収束が見えないコロナ禍に対する先行き不安から、できるだけ受験校を絞り込んで、無理に最難関大を受験しないという動きが強まったためです。
 志願者数が増加した大学を見ていきます。立教大(107)はやや増加ですが、一般方式において全学部日程の試験日増加により受験機会が増加したことが影響しました。龍谷大(106)は共通テスト利用方式での2教科型や4教科型といった従来になかった教科数の方式導入や実施日程追加で、共通テスト利用方式(142)の大幅増加が全体に影響しました。前年度2万人近く、前年度比40%以上の志願者数を減らした駒澤大(104)は、その反動は小さく、やや増加に留まりました。
 一方で、大幅減少した大学です。青山学院大(69)は、多くの学部で個別学部日程を一般方式から共通テスト併用方式に変更しましたが、個別試験での記述式を含む出題や小論文について、コロナ禍の影響でその内容が周知されなかったことも加わり、強い敬遠傾向が見られました。京都産業大(73)は、5年連続増加の反動、甲南大(78)は、2年連続減少が要因でした。立命館大(81)は、前年度増加して志願者数が10万人を上回った反動で、全大学中で最も多い2万人を上回る大幅減少となりました。
 近畿大(93)は、やや減少ですが、志願者数13万5千人を上回り、8年連続で全国最多となりました。なお、志願者数が10万人を上回ったのは、全国で近畿大と千葉工業大の2大学のみとなり、前年度の8大学から大きく減少しました。

合格者数は早稲田大のみ減少

22大学合計の合格者数(111)は約37万7千人で、3年連続増加となりました。すべての大学で増加しており、入試方式の大きな変更が多い早稲田大のみ微増でした。志願者と合格者を比べると、22大学すべてで競争が緩和しました。
 2千人以上増加した大学が、8大学あり、その中で、 龍谷大(142)は5千200人以上の増加、関西学院大(141)と近畿大(110)は、3千400人以上の増加でした。
 以上、2021年度入試状況を見てきましたが、駿台予備学校のWebサイト(https://www2.sundai.ac.jp/yobi/sv/news/index.html)では、最新の詳細な分析を掲載しています。他にも後述する2022年度以降の変更点など、さまざまな入試情報を掲載していますので、参考にしてください。

2022年度入試はどうなる?

 2021年度入試を一緒に確認してきましたが、高3生の皆さんには2022年度入試がどうなるか気になる人も多いでしょう。

 出題形式の変更、大幅な難易度アップが心配されていた共通テストですが、試行調査から特徴的であった、実用的な内容の出題、複数のテキスト(判断力、思考力)からの出題という方針は反映されました。また、問題文の分量は増加し、現代文や英語リーディング以外にも、高度な読解力を必要とする出題への対応を意識して取り組む必要があります。また、英語ではリーディングとリスニングが各100点となりましたが、合否判定に使う傾斜配点を見ても、かつてよりもリスニングの比重が高くなっています。また、従来よりも私立大でもリスニングを課す大学が増えており、注意が必要です。

 さて、2年目の共通テストですが、難易度はどう推移するのでしょうか?

 かつての共通一次試験やセンター試験では導入2年目は平均点のダウンが見られました。初年度は、出題形式の変化に対する受験生の対応力が測れないので、問題の素材そのものの難易度は低めに設定されますが、2年目はこういった配慮はないと考えてください。つまり、「知識・技能」の部分で従来のセンター試験レベルのものが要求されるのです。

 これに加えて、「思考力・判断力」を評価するオリジナル性の高い問題が出題されるのです。単純に「解法のパターン」を覚えるような学習は役に立ちません。確かな基礎学力を身につけた上で、共通テストの出題方針に沿って作られた模試や教材で思考力、判断力を鍛えてください。そうすれば、本番での高得点獲得は難しいことではありません。

 また、私立大や国公立大の個別試験の出題は、基本的には大きな変化はありませんでした。今回新しい入試形式に変えた大学も2年目を迎えるので、前年度の問題をもとにしたしっかりとした対策が立てられると思います。共通テスト併用や記述式の個別試験から逃げようとするのではなく、積極果敢に立ち向かって欲しいと思います。

 基礎学力をしっかり身につけ、志望大の求める方向に磨きあげていけば、恐れるものはありません。むしろ、冒頭で紹介した「3C入試」という傾向、「競争の緩和」という実態を見れば、2022年度入試は非常に大きなチャンスの入試と言えるでしょう。

 環境面で言えば、コロナはいまだに収束の目処が立たないどころか、変異株の出現で更に脅威が増している状況ですから、日常は簡単には戻ってきません。系統別志願状況にも、影響する系統への明らかな敬遠傾向がはっきり出ていました。ただ、そんな中で、就職直結の系統という要素はあるものの、医療従事者を取り巻く環境がこれだけ厳しい中で、メディカル系の系統の志願者数が増えたのには、受験生の前向きな意志を感じました。

 高3生が大学を卒業して、社会に出る4~6年後にはコロナ禍が収束していても、社会状況が現在とは大きく様変わりしていることは想像に難くありません。少しの先の将来がどうなるのか、我々の既成概念をはるかに超えるスピードで世の中の構造が変わり、動いていく中で、確信的な見通しを立てるのは難しいです。そんな中で、「この系統が将来有利かな」と考えての志望決定は、決して得策とはいえません。先が見えないなら、自分が本当に進みたい道、好きな学問を見つけましょう。

第一志望は、ゆずれない!

 受験勉強でも安易に妥協せず頑張ることができれば、大学でレベルアップするための基礎学力と精神力というしっかりとした土台が身につきます。また、「自分が好きだと思える大学」を選ぶことも大切です。目標を高くしておくこと、好きな大学に入りたいと思うことはモチベーションの維持につながり、勉強をもっと頑張ろうという思いが強まるはずです。こういう状況下ですから、「行く価値がある大学、好きな大学を選んで進む」というシンプルな考え方でいいと思います。

 次年度入試に関して、5月中旬時点では例年ならばすでに確定しているスケジュールを含めて、ほぼすべてが未確定となっています。コロナ禍の影響で様々な事柄の決定が延滞しているわけですが、今後は確定されていく情報をタイムリーに押さえていくことが大切です。今回の想定もしていなかったコロナ禍で、オンラインやリモートなど、ICT関連の技術や通信インフラ整備が飛躍的に進んでいます。大学もWebサイトでの情報提供をさらに強化していますので、志望校のWebサイトのこまめなチェックが今まで以上に重要です。

 皆さんの高校生活も相変わらず制約がある状態が続いていることと思いますが、この試練、困難に負けずに、この経験を自分自身の力や財産に変えられるように、貴重な高校生活の一日一日を大切に過ごしてください。それが、皆さんの可能性を広げ、価値を高めることになるはずです。


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